2024年12月1日

リテラ企画(Litera-plan)では、AIを使って文芸の可能性を拡げる研究をしています.

40年以上のキャリアを通じて国内製造業からIT業界へと活動の場を広げ、2008年からは人工知能(AI)システムの実務活用に先駆的に取り組んできました。現在はAI実務利用する国内企業の執行役員をしながら、『生成AIを活用した映像シナリオ制作』の革新に挑戦しています。長年培った実務経験と創作への情熱を融合し、テクノロジーと物語創作の新たな可能性を追求しています。

現在の取り組み

映像シナリオ制作における生成AIの活用

映像コンテンツへの制作需要が急増する現代において、効率的かつ質の高い制作プロセスの確立が急務となっています。私は長年のIT実務経験と創作活動の知見を活かし、生成AIとRAG技術を駆使した映像シナリオ制作の革新的な手法開発に取り組んでいます。

現在のプロジェクトでは:

  • 制作プロセスの部分的自動化による効率向上
  • シナリオ制作ノウハウの体系化と知識共有基盤の構築
  • プロット案やキャラクター設定の生成支援ツール開発

を通じて、人間とAIによる創造的な協働による新しい制作スタイルの確立を目指しています。実務で培った生産システム最適化の知見と最新AI技術を融合させることで、映像産業の持続可能な発展に貢献します。

経験と専門性

  • 製造業での基盤形成(1981-1998):SUBARU、ギャレットターボ、東洋エクステリアでの品質管理・工場管理を通じて培った生産システムへの深い理解
  • AIシステム導入のパイオニア(1999-2022):シンコム・システムズ・ジャパンでAI導入コンサルタントとして14年以上の実績
  • 創作活動の展開:2014年よりシナリオ・センターに所属し、2024年の第47回シナリオS1グランプリ最終選考進出
  • 企業経営とAI戦略:レイ・イージス・ジャパン執行役員として企業のAI戦略を牽引
所属先・組織など時期と内容
製造業での基盤形成
(1981-1998)
SUBARU、ギャレットターボ、東洋エクステリアでの品質管理・工場管理を通じて培った生産システムへの深い理解
AIシステム導入
(1999-2022)
シンコム・システムズ・ジャパンでAI導入コンサルタントとして14年以上の実績
創作活動の展開
(2014-現在修行中)
シナリオ・センター(東京都港区)の『作家集団』に所属。
第47回シナリオS1グランプリ第4次審査選考進出。
企業経営とAI戦略
(2022-現在)
AIを利用したサイバーセキュリティ企業の
(株)レイ・イージス・ジャパン執行役員

私たちのビジョン

コア・ミッション:

大規模言語モデルによる「物語創造性 × 生産性」の最適化

私たちは、大規模言語モデル(LLM)を核とした先進技術と、人間のもつ物語創造の感性を融合させ、
映像シナリオ制作プロセスそのものを再設計します。

長年のシステム最適化やワークフロー設計の経験を土台に、
LLMのポテンシャルを最大限に引き出すハイブリッド制作環境を構築し、

  • 「より深く、複雑で、多様な物語」と
  • 従来の人力中心の制作プロセスや場当たり的なAI利用と比較した大幅な生産性向上

の両立を目指します。

ここでいう生産性向上の比較対象には、主に次のようなレイヤーを想定しています。

  • ログラインから初稿までを、人力のみで段階的に進める従来型ワークフロー
  • 必要なときだけ思いつきで AI に尋ねるだけの「アドホックなGPT利用」
  • Word や Final Draft などのデジタル執筆環境+人力による一般的な制作フロー

私たちは、これらと比べて、同じ時間・人員で試せる物語案・構造・改稿サイクルを大きく増やすことを目標としています。


ビジョンを実現する3つの技術的・創造的戦略

1. LLMを拡張する知識検索(RAG)システム

長編でも破綻しにくい、一貫した物語世界を支える基盤をつくる。

LLMの汎用的な知識だけでは、長編シナリオにおける

  • 伏線と回収の整合性
  • キャラクター設定のブレ
  • 世界観ルールの矛盾

といった現状の課題を十分に制御することは2025年現在では困難です。

そこで私たちは、特定のジャンルや作品世界に特化した専用の知識基盤を構築しています。
(例:キャラクターの履歴・関係図、時系列、世界観のルール、既出/未出の設定、制作上の制約条件など)

この知識を RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術によって
リアルタイムに LLM に参照させることで、

  • 長編・シリーズ作品における一貫性の向上
  • 設定やディテールの正確で再利用しやすい管理
  • 現場のレギュレーションや倫理基準への自動的な配慮の補助

を図り、LLMの創造性を「破綻しにくいかたち」で補強します。


2. LLM駆動型プロンプト連鎖によるプロセス自動化

「構想」から「初稿相当の草稿」までを、階層的にシステム化する。

映像シナリオ制作は、一般に次のような階層構造を持ちます。

  • ログライン(ごく短い作品コンセプト)
  • シノプシス(あらすじ)
  • シーンリスト/ビートシート
  • セリフ・ト書きを含む脚本テキスト

私たちは、この階層構造を前提に、

  • ログライン → シノプシス
  • シノプシス → シーンリスト
  • シーンリスト → セリフ・ト書き

といった具合に、ある段階のLLM出力を次の段階のインプットとして接続するプロンプト連鎖(Chaining)モデルを設計します。

これにより、

  • 人間が提示したテーマ・条件・制約に基づき
  • LLMが階層的に案を展開し
  • 最終的に「初稿」に近いレベルの脚本草稿まで、自動的に到達しうる

という高効率なワークフローの構築を目指します。

人間は、要所で方向性を調整し、クリティカルな判断に集中することで、

  • アイデア出しや構成作業にかかる時間の大幅な削減
  • 同じ条件から複数バリエーションを生成し、質の高い比較検討を行うこと
  • これまで時間的・作業的コストから諦めていた複雑な物語構造へのチャレンジ

を可能にします。

一方で、次のような「アドホックなGPT利用」は、こうした生産性向上を十分に引き出せません。

  • 単発のアイデア出しだけに使い、作品ごとの文脈や履歴を共有しない
  • 「20分の脚本を書いて」と一発で生成させ、気に入らなければ何度かやり直すだけ
  • 困った場面だけ断片的にセリフ案やオチ案を聞き、作品全体の構造は共有しない
  • 毎回新しいチャットで使い、世界観・キャラクター・決定事項を蓄積しない
  • 出力の保存・整理・再利用のルールがなく、その場限りで消費してしまう

私たちは、このような場当たり的な利用を越えて、
映像シナリオ制作のプロセス全体にまたがる「設計された利用」を行うことで、生産性と表現の両面での向上を目指します。


3. 人間による感性的な価値評価と微調整(RLHF的アプローチ)

AIの生成物に、「感動」と「倫理観」と「現場のリアリティ」を注入する。

LLMが生成したシナリオ草稿は、そのままでは

  • 感情表現の繊細さ
  • 倫理的・文化的な配慮
  • 具体的な制作現場・市場との適合性

といった観点で、まだ粗い部分を多く含みます。

私たちは、クリエイターや制作者による感性的な価値評価を明示的なフィードバックとして収集し、

  • 感情の機微が十分に描かれているか
  • ステレオタイプや偏見を無自覚に再生産していないか
  • 想定する観客・市場にとって受容可能か/どの程度チャレンジングか

といった観点から、反復的に修正を加える仕組みを設計します。

ここでいうフィードバックループは、モデルそのものを再学習する厳密な RLHF というよりも、

  • プロンプト設計の改善
  • 外部ルールベース・チェックリストの更新
  • RAG 用の知識基盤のアップデート
  • 望ましい出力パターンのテンプレート化・共有

といった、RLHFの概念を応用したシステム側の改善プロセスとして位置づけられます。

これにより、

  • LLMを単なる「高速ライター」から
  • 人間の感性や倫理観に寄り添う共同制作者(co-creator)のように扱える存在

として運用するワークフローを構築します。

AIを「効率のための道具」にとどめるのではなく、
作り手の価値観や表現哲学を反映した物語を、ともに育てていくパートナーとして活用することを目指します。


私たちの使命

私たちの使命は、LLMの技術的・理論的探求と、実際の映像制作実践を往還させながら、

  • 映像シナリオ制作の生産性を従来比で大きく高めると同時に、
  • 作り手がより深く、より複雑で、より大胆に物語を語ることを可能にする

映像シナリオを核とした新しい創造環境をつくることです。

生成AIを、表現を平板にする装置ではなく、
人間の創造性・作者(作家)性を拡張するためのインフラとして再定義し、
映像表現と制作プロセスの未来に貢献していきます。